憧れのレイダウンジャイブ

僕がウィンドを始めた頃はスラロームの全盛期だった。
当時の憧れのテクニックはセイルをターンの中心に倒し込む”レイダウン”ジャイブ。

完全にプレーニングした状態から、セイルの引き込みとスピードを維持したままダウンウインドに入り、セイルを海面と平行になるまでターンの内側に倒しこんでいくこのジャイブ、フリースタイルのブーム以前ではフォワードループに並んで、上級者限定のあこがれの技のひとつだった。ウインドを始めたばかりでまだプレーニングがやっとこさ、という初級コースを脱出したばかりの自分にとって、いつかはものにしたい目標だった。
この技が昨年のある時から急にできるようになった。
初めてレイダウンができた時の感覚は独特で強烈だった。
コンディションはクロスオフ・フラット海面で5.5で完プレするくらいの風速。高速じゃイブの練習中に十分下らせてトップスピードからジャイブに入った時、ふとマスト手を脱力してみたら、体とセイルがそのまますとーん、ターンの中心に向かって自然に倒れ込んだ。多分その時間は一瞬のことだったが、セイルも体も宙に浮いたような無重力感覚に全身が包まれた。その直後、風でセイルがふわっと浮かび上がってきたのをそのままノーズ方向に送り出すと、あとは普通のジャイブと同じように、だがスピードはほとんどロスしないでクローズ方向にボードが走り抜けた。
それまで全くできる気がしなかったのに、この一回以降、風速が十分であれば普通にできるようになり、毎回その不思議な感覚を楽しんでいる。きっとこういうセイルのコントロールはウェイブの他の技術にも役立つんじゃないかと思う。それが乗り越えることが困難な大きな壁に思えても、練習を積み重ねていくとある瞬間に自然にその一歩が踏み出されていることがある。自分でも気づかないうちにそういうことは起こる。
・・・と、そんな理屈は全く抜きにして、こういう楽しみがあるからウインドサーフィンは止められない!
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