2008.08.24

ポール・ボキューズ、食のテーマパーク

リヨン市内の気持ちよい散策を終え、夕方いったんホテルに戻って一張羅に着替える。
リヨンの名物三つ星レストラン、ポール・ボキューズに予約を入れてあるのだ。
わざわざ日本から一張羅を持ってきたのもこのためだ。

タクシーでホテルを出発する。車は市街を抜けどんどんと市外へ・・・・
夕暮れ時を過ぎて日が暮れて周りは更に薄暗く、建物が無くなり周りは林と畑になりますます寂しくなり・・・
どこに連れて行かれるんだ?
このタクシーで大丈夫か?
と、不安が最高潮になったころ、林の中に忽然とお菓子の家、
もとい、ポールおじさんの館が唐突に出現した。
Lyon_pb
・・・なんというか、かなりシュールなデザインである。

中にはいると調度品や内装はさすがに三つ星レストランの豪華さだ。
Webサイトからおっかなびっくり予約をしたのだが、どうやら無事席は取られていたようだ。
やれやれ。正直言ってほっとした。ここまで来て、「えーと、あんた誰?」なんて事になったら悪夢だからね。

さて、メニューを見て一番シンプルなコースを注文し、食前酒にシャンパンを選ぶ。
ほっと一息ついて二人で乾杯をする。
Sp1020635_2

落ち着いて周囲の席を見回すと、実は誰も大して正装なんかしていない。どちらかというとラフな格好の客ばかりだ。ネクタイをしているのは自分と、サービススタッフだけ? うーん、わざわざ日本から運んできたんだけどな。なんてぼやいているところへ前菜が届く。自分には冷菜の盛り合わせ、奥さんにはロブスターのスープ。

えーと、これ何人前ですか??
・厚切りトースト一枚分ほどのフォアグラのテリーヌ
・同じくらいの大きさの厚切りハム
・野菜のゼリー寄せ
一つ一つがそれぞれ3人分くらいに見える。

奥さんのスープは大きなポットに入っているので、ここから取り分けるのかと思ったら、これがまるまる一人前だ。
この量はいったい何なんだ?

気を取り直してこれらを平らげる。もちろんどれも味は文句なし。
思わず気合いを入れてフォアグラを平らげてしまった。大体フォアグラなんてお腹いっぱいたべるものなんだろうか??

どうやらウワサは本当だったらしい。
「伝統的フレンチ」 = 「圧倒的物量で迫り来るこってり田舎風フレンチ」
しかもこれで前菜、このあといったい何が出てくるのか。
そうだ、いったい自分は主菜に何を頼んだのだ?
ヒ・ツ・ジ...  思わず羊まるごと一頭の丸焼きなどを想像したら、お腹にずっしりと溜まったフォアグラにより目の前がクラクラとなり、イヤな感じの冷や汗が背中を流れ出した。

どうやらホントに顔色が蒼くなっていたらしい。奥さんも心配そうに見ている。
しばらく背もたれにもたれてぐったりしているとようやく体調も落ち着いてきた。

そのとき何人かのスタッフを引き連れ、伝説のシェフ、ポール・ボキューズ氏が部屋の奥から姿を現した。
齢80を超えてなおかくしゃくとしており、にこやかにテーブルを回って挨拶し、一言二言客と話しをしながらやってくる。Sp1020637


そしてついに自分たちのテーブルの前におフランスの人間国宝、ポール・ボキューズ氏がやってきた。
日本から来たことを告げると、とても気さくに話しかけてくれ、サインのお願いにもイヤな顔一つせず応じてくれる。
なんというか、サービス精神の塊のような人だ。ひらまつグループと提携して日本にも進出しているためか。
こちらのカメラを見かけると、向こうから「さぁ写真を撮ろう」と自ら手招き。
Sp1020630

ポーズを替えながらスタッフに何枚も写真を撮らせる。とんでもなくエライ人なのにとても気さくでいい人である。しばらくお話をさせていただいた後、「ゆっくり楽しんで下さい」と挨拶をしてボキューズ氏は店の奥に去っていった。

だんだんわかってきた。
ここはフランス料理のテーマパークなんだ。
ミッキーと記念撮影をするように、伝説のシェフと親しく会話ができ、記念撮影をする。
だから郊外の森の中にああいう突拍子のない建物が忽然と現れるわけだ。

二人でそんなことを話して、すこしリラックスしていると恭しくワゴンを押してスタッフが主菜を運んできた。
スタッフが銀色のフタをさっと開けるとラムラックの塊、肋4本分の巨大な肉塊が現れた。数人のスタッフがこれを切り分け、脇から同時に温野菜が添えられ、温められたトリュフ入りソースがさっとかけられる。
こうして目の前で魔法のように料理が完成する。
Sp1020631_2

目の前に出された皿の上には一つ一つの骨付きラムの一本一本が・・・デカイ。
こいつを切り分けて一口頬張ると・・・ウマイ!
しかし食べても食べても減らない!
すでに巨大フォアグラテリーヌでお腹が一杯だったのだ。やむを得ず2本目を食べたところでリタイアした。

とっつぁん、俺ぁもう疲れたよ、もう真っ白に燃え尽きたよ。
と背もたれにぐったり寄りかかりながら隣のテーブルを見ると、がっちりした体格のおとなりのアフリカ系カップルも3本目の骨付きラムの食べかけでリタイアするところだった。
なんだ、日本人だけが残す訳じゃないんだ、と妙な安心の仕方で、それでもなんだかほっとしていた。

ところがまだ安心するのは早かった。
奥から巨大な木箱を捧げ持ったスタッフが数人。
今度は30種類を越えるチーズの大軍の襲来。いえいえもう入りません。
Sp1020639_2

もうカンベンして下さいシクシク・・・と思ってたら、ワインとチーズ大好きな妻が俄然はりきりだした。
「アレとコレとソレと・・それとアレも」・・妻よお前の胃袋はいったい・・・
とゆーか負けていられないので、決死の覚悟で立ち上がり、いくつかのチーズ、それも比較的臭くなさそうなものを頼んでみた。
Sp1020641_2

チーズの大軍をようやくやり過ごしていると、しんがりにはデザートを満載したワゴンが4,5台進軍してきて、こともあろうにこちらのテーブルを隙間無くグルーリと取り囲んだ。このデザート包囲網により我々の退路は完全に断たれた。
Sp10206441Sp1020645_21Sp1020646_2

そのまま10分も放置プレーにあい、包囲から解放してくれたサービスマンが「デザートは何を?」などとのたまったが、もちろん丁重にお断りした。勘定を済ませ、タクシーを呼んでもらい食のテーマパークを後にする。

ホテルに帰り着いて二人ぐったりと疲れ果てて眠りについた。

「伝統的フレンチ」と対峙する際の教訓:
・残すことは普通、3割食べて次に行こう。特に序盤はセーブせよ。
・体調は万全に。当日はディナーなら昼は抜くかコーヒー程度にするとよい。
・食事ではなく美食のテーマパークを体験すると心得よ。

| | Comments (6) | TrackBack (0)

2008.05.13

巴里の空の下 -リヨン駅からリヨンへ

ホテルで朝食を取りゆっくり支度をしてからチェックアウトする。
二人でスーツケースをガラガラ引っ張ってリヨン駅に向かう。それと忘れてはならない、わざわざこのために日本から抱えてきた一張羅。

リヨン駅で妻の姉と合流して、これから二泊三日の小旅行に出かけるのはローヌ・アルプ地方。今日向かうのは美食の都としても名高いリヨン。
Sp1020556

Sp1020553

Sp1020565


TGVでが牧草の芽吹く丘陵地帯をひた走り、わずか2時間でリヨンに到着。ホテルに荷物を置いてさっそく街歩き。旅に来たらとにかく歩く! 歩いてその街を自分の足で踏みしめて、カフェで渇きをうるおし、地元の人と同じ空気を吸う。そうしてようやくその土地にちょっとだけ溶け込んだ気分になり、見慣れない風景も自然に視野に入ってくるようになる。

Sp1020583

Sp1020607

Sp1020604

旧市街の中心部にあるサン・ジャン大司教協会のステンドグラスに見とれる。四方の天窓のすべてが荘厳なステンドグラスで飾られている。

Sp1020597

Sp1020596

Sp1020598

Sp1020603_2

旧市街を歩いて丘の上に向かう。晴天の丘の上からの眺めるリヨン市街の眺望がすばらしい。
Sp1020615

Sp1020624

今日はたっぷり歩いておなかを空かせておかないと。
今夜は伝統的フランス料理の三ツ星、ポール・ボキューズでディナーの予定なのである。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2008.04.26

巴里の空の下 -フランス爆食ツアーのゴングは鳴った

Sp1020536

Sp1020544


パリである。

空高く雲がたなびき、春風がそよぎ、あちこちに木々が芽吹いている。歴史ある街の建物は、いずれもトレビア~ンな装飾で飾られどのブロックの角にもお洒落なカフェ、クレープ屋、小さなビストロが並んでいる。

これからパリを起点にリヨン、ボーヌ、ディジョンなどの地方都市を旅してまわる。今回は水遊び(ウインドサーフィン)は一切ナシ。観光と爆食、街を足の向くまま散歩するというお気楽旅だ。    ・・・まぁいつもお気楽旅なんですけどね。

半年以上前からヨメは壮絶な格安航空券争奪戦を戦い抜き、この時期にしては信じられない価格でパリまでのエアチケットを入手した。そしてそれだけではなく、連日ネットにかじりついて、安くてもまずまずのホテルや、地方都市リヨンの某有名レストランの予約までやり遂げた。

諸君!この武勲に敬意を表しまずは乾杯しようではないか!(ヒゲ男爵か? > オレ)

ともかく、そんな奮闘の結果、いまわれわれは巴里の空の下にいるわけだ。
夜遅く飛行機がつき、深夜にモンパルナスの二つ星ホテル(最低が星ナシで最高が5つ星だから中の下というところだ)に到着した翌朝、ホテルまでフランスに留学中のツマの姉が迎えにきた。さっそく彼女の案内で近所をのんびり散歩する。

さっそく地元の気さくな商店街へ。
新鮮なたくさんの野菜、まっかなイチゴ、そして日本では考えられない豊富な種類のチーズ、各種の畜肉、ジビエ。そして意外なことに日本並みに新鮮で種類豊かな海産物が並んでいる。さすがにEUの農業大国、畜産大国、美食大国だ。ちなみにフランスの食糧自給率122%(2003年)、対する日本はたったの40%!。ヤバいぞ!なんだこの差は!!(データは農林水産省から)

気を取り直して地元の文化を実地で検証する文化人類学的フィールドワークを開始する。
というか、やっていることといえば要するにいつものアレ。地元商店街での買い食い行為である。

Sp1020524

まずは近所でも人気のパンやで伝統的なバゲットを買い、歩きながらガブリ!
うまい。香ばしい小麦の焼けた香りが広がる。思ったほどクラスト(皮のとこ=耳)が固くなく、中のクラム(白い中身のとこ)はムッチリもちもちとして味がしっかりとする。こんなのは食べたことがない。


Sp1020529

続いて商店街の一角にあったジェラート屋さんでジェラートを試食。でかい! そしてこれもウマイ。
素材の味わいだけでなく、材料ごとにそれぞれ違った仕事をして味を引き出している。イタリアのジェラートもうまいが、素材そのまんま!というちょっと荒々しい感じがするのと好対照だ。そして勢いでチーズ屋のヤギのチーズを試食。こちらは表面にレーズンがまぶしてあるクリームチーズのようなもので、さっきのバゲットの残りを二つに割り、即席のサンドイッチにしてかじる。これまたウマし!。

と気づけばすでに買い食い3連荘。これで前菜は終わりとして、昼食にガレット(蕎麦粉のクレープ)屋に向かう。

Sp1020532

古びたお店のなかは客でごった返している。ガレット屋の多いとされるモンパルナスでもここは老舗とされているが、数件隔てたところにここから独立したお店がもう一軒あり、そちらも人気店となっている。本家、元祖というかんじなのか?よくある確執とかあるんだろうか、といろいろ想像してしまうがそこまで深い事情は聞けなかったのが残念。実はこの、もう一軒の店は、7年前にバックパックでパリを歩いた際に立ち寄った懐かしいお店であった。なんか見覚えがあると思ったよ。

さて、初日からこの勢いですでに爆食全開だが、明日はTGVでリヨンに向かって出発する。パリの味、しばしのおわかれである。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2008.03.23

隠れ名店 パステリア・オカモト

地元茅ヶ崎には住宅地の間に気の利いたイタリアンなんかが潜んでいたりする。

自転車でポレポレ走っていると時々新しくできたおしゃれなお店や、昔っから近所にあるのにこっちがちっとも見つけられなかったお店とひょっこり出会ったりするのが休日の楽しみの一つだ。

とはいえ、そういうローカルでリゾートな一帯は東海道線よりも海側にあるというのがこのあたりの人の常識となっている。いわゆる「湘南」と呼ばれるエリアはあくまで海側であって、これがJR、国道一号より山側になると、とたん普通の田舎の風景となり、地名も「○○台」なんてのが多くなる。

しかしそういう場所にも隠れた実力店が力強く営業していたりする。今回お邪魔した「パステリア・オカモト」もそんなお店でした。暖かい時期ならば自転車でぷらぷら行ってみようかというほど近さ。昨日の強風がうそのような穏やかな小春日和のランチでの訪問。

P1020401

この店は手打ちパスタをメニューの主役に据えていて、耳慣れない手打ちパスタも日によっていろいろ楽しめる。今日はワタリガニのタリオーニとイカ墨を練りこんだタリオーニにヤリイカとアサリのソースをオーダー。前菜にはエゾ鹿のサルシッチャ。思わずワインがほしくなる一品、だけど今日は車なんだよなぁ。
P1020385

まもなくパスタが運ばれてくるとこれがどちらも絶品! シコシコの麺に凝縮された海の旨味がしっかりとしみこんでパスタをかむと味がじゅわっと染み出してくる。

P1020386

P1020391

デザートも可愛くまとめられていて、なかなか気が利いている。
P1020397

おいしい頂いてお値段も手ごろ。今度はディナーでじっくりワインを飲みながらいろんなお皿を頂きたい!
そう、このお店、こじんまりとしている割にはメニューのバリエーションが豊富で通好み。地元の友人を誘ってのんびりワインを傾けたくなるようなチャーミングなお店でした。

食後は腹ごなしにビーチパークを散歩。
そこそこ波が入っていて、ロングボードのサーファーがたくさん出ていた。


P1020405

P1020409
小春日和でサーフィン日和。

| | Comments (2) | TrackBack (1)

春一番2008

今年も春いちばんの季節がやってきた。
P10203701

風速はブローで軽く20mを超えてエキスパートですら手持ち最少セイルを迷わずチョイスするコンディションです。お昼を過ぎてから2時間くらいの間、エキスパートオンリーの状況が続きました。
P1020365

P1020367

なんと12月上旬からまるまる二カ月以上のご無沙汰で今年いっぱつめが春一番とは正直キツイですねー。幸いにして波はヒザ~コシで乗り頃のコンディション。とはいえ・・・・3.8㎡ですら時々オーバーセイルとなる状況ではなかなかダウンザラインには入っていけなくて苦戦。だってアウトでのジャイブもままならないんだから、正直、二か月ぶりのなまった体では往復するだけで精いっぱいでした。
P10203711

午後3時ごろには風速も落ちて風向きも変わり、いきなりオフになって何人か帰れなくなりそうになった人もいた模様。(全員無事帰艇)

今年もウインドシーズンのはじまりはじまり。

P1020377

| | Comments (0) | TrackBack (0)

ご近所ソング

深夜の音楽番組をなんとなくながめてたら・・・

ウインドサーフィンに乗りながら歌う二人組がいきなりあらわれた。コミカルなアニメーションの海の中をウインドに乗ったにーちゃんが歌いながら波間をぷか~り、その奥には本当に烏帽子岩らしき物体が・・・

タイトルは「エボシ」、グループは「FREEASY BEATS

どうやら兄弟デュオらしい。昨年夏、ウインドに初チャレンジしたことで生まれた曲がこのエボシ。この曲がマキシシングル化。なんとなくバンドのカラーも海っぽくて好感触。

のんびりして感じのいい曲だ。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2008.01.20

憧れのレイダウンジャイブ

Droppedimage_6
僕がウィンドを始めた頃はスラロームの全盛期だった。
当時の憧れのテクニックはセイルをターンの中心に倒し込む”レイダウン”ジャイブ。
Nicejibe

完全にプレーニングした状態から、セイルの引き込みとスピードを維持したままダウンウインドに入り、セイルを海面と平行になるまでターンの内側に倒しこんでいくこのジャイブ、フリースタイルのブーム以前ではフォワードループに並んで、上級者限定のあこがれの技のひとつだった。ウインドを始めたばかりでまだプレーニングがやっとこさ、という初級コースを脱出したばかりの自分にとって、いつかはものにしたい目標だった。

この技が昨年のある時から急にできるようになった。

初めてレイダウンができた時の感覚は独特で強烈だった。
コンディションはクロスオフ・フラット海面で5.5で完プレするくらいの風速。高速じゃイブの練習中に十分下らせてトップスピードからジャイブに入った時、ふとマスト手を脱力してみたら、体とセイルがそのまますとーん、ターンの中心に向かって自然に倒れ込んだ。多分その時間は一瞬のことだったが、セイルも体も宙に浮いたような無重力感覚に全身が包まれた。その直後、風でセイルがふわっと浮かび上がってきたのをそのままノーズ方向に送り出すと、あとは普通のジャイブと同じように、だがスピードはほとんどロスしないでクローズ方向にボードが走り抜けた。

それまで全くできる気がしなかったのに、この一回以降、風速が十分であれば普通にできるようになり、毎回その不思議な感覚を楽しんでいる。きっとこういうセイルのコントロールはウェイブの他の技術にも役立つんじゃないかと思う。それが乗り越えることが困難な大きな壁に思えても、練習を積み重ねていくとある瞬間に自然にその一歩が踏み出されていることがある。自分でも気づかないうちにそういうことは起こる。

・・・と、そんな理屈は全く抜きにして、こういう楽しみがあるからウインドサーフィンは止められない!

| | Comments (0) | TrackBack (0)

«シンガポール滞在中